スタジオジブリの最新作「借りぐらしのアリエッティ」を観てきました。自然に囲まれた閑静な屋敷にひっそりと住み着いた小人の一家。人間から見るとこじんまりとした住まいですが、小さなアリエッティから見ると、庭は危険な生き物たちが住む広大なジャングル、屋敷の中は様々な仕掛けが巡らされた巨大な迷路になってしまうから不思議です。そんな魅惑に満ちた空間をアリエッティと一緒に冒険していると、まるで天空の城を旅しているようにドキドキしている自分に気がつくことでしょう。普段見慣れた光景も、ちょっと視点を変えると冒険の舞台に早変わりしてしまう、というのがこの作品のコンセプトです。「崖の上のポニョ」では半径3キロ以内で全ての出来事が起こっていましたが、「アリエッティ」ではさらに狭い、家一軒分のミクロな世界の中で全てが描かれているのです。
映画レビュー・感想

遅ればせながら、川崎のIMAXシアターで話題の「アバター」
を観てきました。ネットでの評判通り、専用スクリーンで観る3D映像の迫力はすさまじく、どっぷりと3Dの世界を堪能できました。むやみに「鼻先に飛び出してくる」といった旧来の3D映画にありがちな手法を取らなかったのは、ジェームズ・キャメロン監督が冒頭でメッセージとして語っている通り、本当に観客を「パンドラ」という星に連れて行きたかったからでしょう。数メートル先に実際に人が「いる」かのような自然なリアリティを終始徹底しているのです。そういった映像的な面以上に私が衝撃を受けたのは、ストーリーに込められたメッセージ性の深さ・・。一見、自然への回帰を謳っているようでいて、ネットやゲームに順応する新しい世代の人類のあり方を比喩的に描いているように感じたのです。そんなテーマの先進性という意味においても、「アバター」は21世紀にエポック的な作品だと思いました。
こちらはハワイからの帰りの飛行機の中で見たブルース・ウィリス主演の最新作「サロゲート」。ロボットやアンドロイドものではなく、あくまでも人間の代理人(=サロゲート)として社会生活を営むマシンという設定が新しいところ。マトリックスのようにバーチャルに操っているのに、仮想空間ではなく、持ち主と同じ現実世界に存在する身代わりなのです。まさにリアル版アバターといったところでしょうか・・?せっかく機械の体が持てるのならと、みんな容姿端麗な美男・美女のボディばかりを選ぶので、登場人物がまるでマネキンみたいに見えてしまいます。さて、我らがブルース・ウィリスも、不可解な殺人事件を追う刑事として登場しますが、なんとこのタフでクールな主人公自身も「サロゲート」だったのです!

一昨日発表された第82回アカデミー賞でも長編アニメーション部門を受賞したことで話題の「カールじいさんの空飛ぶ家」
ですが、なかなか観に行く機会がないと思っていたところ、先日ハワイへ旅立つ際のJALの機内でたまたま上映していたので、観ることができました。スクリーンこそ小さいものの、空飛ぶ飛行機の中で観る「カールじいさん」はまた格別で、ちょうどカールじいさんの家が飛び立つシーンで気流の揺れがグラグラ来るなど、リアルな臨場感を感じることができました。家にいながらにして大空を旅するという発想も去ることながら、この作品の根底に込められたメッセージが「日常こそが冒険である」というものだと知り、より深く感情移入することができました。まさに「風のまにまに号」のテーマそのものですね!
3D映画で話題の「Disney's クリスマス・キャロル」を観てきました。ロバート・ゼメキス監督の3D映画としては、2004年に同じくクリスマスを題材にした「ポーラー・エクスプレス」を劇場まで観に行ったのですが、全編を3D映像で描くという技術革新も去ることながら、ゼメキス監督の情感豊かな表現力に度肝を抜かされた記憶がいまだに生々しいものです。あれから5年ばかりの歳月を経る間に、3D映画を配信する技術がすっかり普及したのか、今年に入ってから3Dバージョンで公開する映画が続々と発表されているのは、3D映画好きとしては嬉しいばかりです。さて、今回の「クリスマス・キャロル」でも、SFファンタジーの巨匠・ゼメキス監督の手腕がいかんなく発揮され、精霊とともに大空を飛び回り、ロンドンの街を縦横無尽に駆け抜けるスクルージの姿は、現代の私たちに忘れかけていたクリスマスの奇跡を思い起こさせてくれるのでした。
2005年に大ヒットした「コーラス」の製作ジャック・ぺランとクリストフ・バラティエ監督の最新作で、2008年フランスで130万人動因の大ヒットを記録した映画「幸せはシャンソニア劇場から」を観てきました。1936年のパリ下町の小劇場を舞台に繰り広げられるこの映画、観る者をたちまち壮麗な別世界へ連れて行ってくれるのが魅力です。石畳に雪が降り積もる年末、劇場では1936年のカウントダウンが行われ大盛り上がり・・。そして、アコーディオンを弾きながらパリの街角を練り歩く少年の目線を通して、遠くにエッフェル塔を見渡すことができます。そんな華やかなシーンとは裏腹に、『つぎはぎ』のようにゴテゴテと小さな建物がひしめく町並みは、どこかこじんまりしていて、私たちが憧れを抱く「パリ」のイメージとはどこか違う気がしないでしょうか?当時のフランスは、世界恐慌に端を発した社会不安の真っただ中で、街角では日夜労働者のストや暴動が起こり、隣国のドイツではファシズムの足音が聞こえていたのです。そんな時代に真の主人公といえるのは、下町で貧困に苦しんでいた労働者に違いない・・!それが、この映画に一貫したテーマだといえるでしょう。今の時代の日本人にこそ、生きる元気と明るい希望を与えてくれる作品だと思いました。
ピクサーの新作映画「ウォーリー」を観て来ました。汚染されゴミに溢れてしまった地球を捨て、宇宙へ旅立ってしまった人類に代わって、700年の間たった一人で生き延びたお掃除ロボットのウォーリー。鉄クズを集めて捨てるのだけが仕事だったはずのウォーリーですが、いつしかお気に入りの宝物(人類の遺産)を集めては、自分のガレージにコレクションする趣味を持つように・・。映画のラブストーリーに憧れて、ただひたすら恋する人と手を取り合うことを夢見るようになったウォーリーの前に、ある日宇宙船に乗せられた最新鋭ロボットのイヴがやって来ます。一目でイヴに惚れてしまったウォーリーは、あの手この手でイヴのハートを掴もうと健気なアタックを開始しますが、何やら重大な任務を帯びてやって来たらしいイヴは、そんなウォーリーのことなどお構い無し・・。やがて宇宙に戻ることになったイヴを追って、決死の追跡を開始することにしたウォーリーが巻き起こす珍道中が、ついにはイヴの心を開き、人類と地球の運命をも変えることになるのでした。
インディ・ジョーンズ・シリーズの最新作「クリスタルスカルの王国」を観てみました。19年越しの新作ということで、どんな企画倒れになるのかと危惧していたのですが、フタを開けてみるとハリソン・フォードもそれほど老いを感じさせないし、ストーリー的にも映像的にも、昔ながらの王道スタイルをしっかり継承した、旧来のファンにとっても十分安心して楽しめる内容となっていました。そうはいっても、前作から時代は大きく進んで舞台は1957年・・。フィフティーズ・スタイルの若者がクラシック・カーをかっ飛ばしていたり、ジョーンズ博士の前に立ちはだかる宿敵も、前作までのナチス・ドイツ軍に代わって、冷戦直下のソ連軍になっていたりするのを見ると、劇中のこととは言え、隔世の感を否めません。ジョーンズ博士が核爆弾の実験場に迷い込んでしまうエピソードなども印象的ですが、あのインディ・ジョーンズも第二次大戦の荒波を生き抜いたんだなぁ、とすっかり時代の流れを感じてしまうのでした。それでも、およそ時代遅れな、おなじみのカウボーイ・ハットが登場する冒頭のシーンには、ファンなら誰しも拍手喝采を送りたくなるのではないでしょうか?
「ジェイソン・ボーン」シリーズ3部作の完結編「ボーン・アルティメイタム」を観ました。いよいよボーンの失われた記憶の全てが明らかになる3作目、自らの記憶と陰謀の手がかりを追って新聞記者のロスと接触を図ったボーンは、ついにCIA組織との全面対決を迎えます。全体的にアクションの派手さは抑え気味といった印象を受けるのですが、相変わらず世界中の都市を転々とし、スタイリッシュに繰り広げられるアクション・シーンの数々は洗練されていて、観光映画としても楽しめる一級の見応え感じさせます。前半ではロンドンのウォタールー駅を舞台にした、雑踏と無数の監視カメラの包囲網を縫った緻密な攻防戦、中盤ではモロッコの迷路のような市街地を舞台に手に汗握る追いかけっこ、といった具合に手を変え品を変え、趣向を凝らした演出は見ていて飽きません。主人公ボーンの強さや身体能力も去ることながら、即座に情報を分析して決断できる、状況判断能力のすごさには、現代的で本物のかっこよさを感じますね・・。世界中の情報網を掌握し、組織化された人海戦術を誇るCIAも、高度に専門家された個人にはかなわない、という非常に現代的な様相を、『ジェイソン・ボーン』というヒーロー像が象徴しているような気がしてなりません。この映画を、そういった『組織VS個』という視点で見てみると、経営や組織学の延長として、より楽しめるかもしれませんね。
未視聴だったディズニー映画「リロ&スティッチ」を見てみました。冒頭からスター・ウォーズ顔負けの宇宙船バトルがはじまり、何やら今までのディズニー・アニメとは一味違った雰囲気・・。さらに物語の舞台がハワイのカウアイ島だというのがまた面白い。マナ・カードなどでも注目が集まるハワイの伝統文化ですが、作中でリロが踊っているフラ・ダンスも、ひょうたんの太鼓や詠唱(メレ)が唱えられたりと、極めて古典フラに近いスタイルが踏襲されています。宇宙一凶悪なエイリアンとして、ただ都市文明を破壊するためだけに作られたスティッチでしたが、四方を海に囲まれ、大自然溢れるカウアイ島には『破壊すべきもの』が何一つなかった・・。そんな境遇で、複雑な家庭に育つリロとスティッチが、孤独を抱えるもの同士、大切な家族愛に目覚めていく姿は、涙なしでは見られませんが、随所に盛り込まれたギャグや遊び心がほどよい笑いを与えてくれます。スティッチの持つめちゃくちゃなパワーが、田舎であるがゆえに中和されてしまうという設定は、ペンギン村のアラレちゃんを思い起こさせるし、いつもリロやスティッチたちのトラブルに巻き込まれ「アイスを食べることができない」おじさんなど、ちょい役に至るまで笑いのツボをわきまえてますよね。TDLでの新アトラクションや、10月からはじまる日本版アニメ「スティッチ!」など、止まることを知らない人気ぶりですが、ぜひ今後も注目してみたいと思います。
アメリカの国民的アニメ「ザ・シンプソンズ」待望の映画版「ザ・シンプソンズ MOVIE」を観てみました。私は1年ほど前からスカパーのFOXチャンネルでやっているのを見るようになって、一気にハマってしまったのですが、繰り返し再放送されているので、昔からのファンという方も少なくないのではないでしょうか?いつもトラブルばかり起こすホーマーが、またしても身勝手な行動から大惨事を引き起こし、今回はなんとスプリングフィールドの町が『消滅』の危機に・・。そして住む家を追われたシンプソンズ一家が新天地を求め、アラスカに移住・・?!相も変わらぬバカ騒ぎが、大スクリーン狭しと繰り広げられるのが最大の見所ですが、社会を映し出す鋭い目線が随所に盛り込まれてる点も、忘れてはいけません。ブラックユーモアの中に環境問題、宗教、人種差別、そして家族愛と、様々なテーマが詰め込まれたこの作品、いつもギリギリ社会の枠からはみ出してしまうホーマーだからこそ、大多数のアメリカ人の気持ちを代弁できるのかもしれません。劇場公開時には声優問題で議論を呼んだこの作品ですが、DVDにはオリジナル声優バージョンも収録されているので、旧来からのファンも安心して楽しめますね。
コーエン兄弟の最新作「ノーカントリー」を観てきました。偶然大金を手に入れた男が、それを追う非情な殺人鬼から逃れるため、必死の逃亡劇を繰り広げるというストーリー。過去の作品では、コメディやファンタジーなど、いつも独特の世界観を作り出すことで定評のあるコーエン兄弟ですが、今回の作品で描かれているのは徹底されたリアリズムの世界・・。荒涼とした砂漠で始まる事件の発端から、夜のモーテルを転々としながら、じっと闇に身を潜める攻防戦など、全編が息つく暇もないほどの、張り詰めた緊迫感に満ちています。普通にアクション映画・サスペンス映画として見ても、第一級の価値があるクオリティのこの作品ですが、何より特筆すべきなのが不気味な殺人鬼の存在。地味で変な髪型なのに、ひたすらに冷酷で、何を考えているのか分からない怖さがあります。彼の仕草や振る舞いには、思わず笑ってしまう可笑しみがありながら、トミー・リー・ジョーンズ演じる老保安官のセリフにある通り、「笑ってはいけない」という現実感こそが、この作品に込められた真のテーマなのかもしれません。
「ライラの冒険 黄金の羅針盤」を観に行ってきました。私たちの住む世界とそっくりだけど、どこかが違う別世界。人々の魂が『ダイモン』と呼ばれる守護精霊の姿で外在化された世界で、次々と子供たちが連れ去られる事件が発生し、オクスフォードで寄宿生として暮らすライラは、さらわれた友達を助けるため北極へと旅立ちます。現実世界とよく似てるけど、私たちの世界とは異なるエネルギーで動く飛行船や馬車(?)など、ファンタジー要素たっぷりの世界観も見ていて楽しいのですが、主人公ライラの元気な行動力で、物語がテンポよくグイグイ進むので、最後まで飽きさせません。一応、叔父のアスリエル卿という心強い味方がいるのですが、作中ではほとんど離れ離れでこれといった援助は受けられないので、ライラ自身が考え判断して動く、という構図が物語の大半を占め、冒険映画としての魅力を生んでいます。ハリー・ポッターのように魔法を使うことはできないので、ライラに与えられた唯一の武器は、真実を映すという「羅針盤」ただ一つ・・。この羅針盤を利用して、巧みに人を説得し、仲間を集め、時には敵を欺いたりもする、ライラの勇気ある活躍は見るとスッとさせられること請け合いです。
ジャーナリスト志望のアンディは、有名ファッション誌・カリスマ編集長のアシスタントという職を得るが、それは悪魔のような上司にこき使われる怒涛の日々の始まりだった・・。ファッションにまるで興味のない彼女が、仕事で遅れを取らないために、まず取った行動が、一流のファッションを身にまとうこと。一躍トップモデルのような容姿に変身した彼女が、ニューヨークの街を颯爽と走り、忙しく立ち働く姿は見ていて清々しく、オシャレなキャリアウーマンたちが活躍する別世界を追体験させてくれます。着せ替え人形のようにコロコロと変わる主人公のファッションや、スピーディーな演出、劇中を彩る軽快なポップ・チューンの数々に、身を委ねているだけで楽しめる、そんな作品でした。
スティーブン・スピルバーグの監督最新作「宇宙戦争」を見てみました。H・G・ウェルズの有名な原作の映画化ということですが、「タコ足の火星人」というよりも、宇宙人が乗るロボット型の破壊兵器(トライポッド)のデザインに、タコ足や触手のイメージを持たせた点がユニークで、後はひたすらにリアルな破壊描写を追求したパニック・ムービーといった感じの作品でした。トム・クルーズに何の取り柄もない一市民を演じさせるというのが、ちょっと無理があると思うのですが、主人公の行動原理が家族や娘を守るという一点に絞られているので、理屈抜きで入り込みやすいのではないでしょうか?個人的に一番見どころだったのは、主人公たちが偶然逃げ込んだ廃屋で、宇宙人の送り込んだ探査ユニットに見つからないよう、必死に『隠れんぼ』を繰り広げるシーン。このシーンは、同じトム・クルーズ主演の「マイノリティ・リポート」の1シーンを彷彿させるのですが、ほんとにこの監督はこういうドキドキハラハラな演出が好きなんだなぁ、と感心させられます。やたら人間の住居や持ち物に興味津々な宇宙人も、知能が高いのか低いのかよく分からないのですが、こういう本能レベルでの追いかけっこでは、「ジュラシック・パーク」の恐竜たちと大差ないんですよね・・。「E.T.」の時の宇宙人遭遇のシーンと比較しながら見るのも面白いかもしれません。
風のまにまに号

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