ブックレビュー・感想

1Q84

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1q84.jpg村上春樹の最新作「1Q84」を買いました。「海辺のカフカ」から7年ぶりの長編小説な上、今回は完全な書き下ろしということもあって、発売まで一切の内容やあらすじが明かされなかったので、発売前から話題を呼んでいたこの作品・・。それだけに、ネタバレするような内容には触れたくないのですが、取り急ぎファーストインプレッションとして、触りだけ書いておきたいと思います。ちょっと「普通じゃない」印象的なシーンから始まるこの作品、読み進めると、『青豆(あおまめ)』と『天吾』という二人の主人公を交互に描く、パラレル・ストーリーの構成になっていることが分かります。青豆という名前(名字です)もまた珍しいと思うのですが、これも何か謎解きのキーポイントになっているのでしょうか・・?主人公二人は、いずれも30歳ぐらいの設定で、今の自分と同じ年代なので、何かと親近感が湧きます。1984年という時代設定も、個人的には思い入れが強く、(正確には1985年ですが)当時小学生だった自分にとって、つくば科学万博に連れて行ってもらったり、スピルバーグをはじめとしたハリウッド映画を頻繁に観に行ったりした思い出が印象的で、外の世界に目が向き始めた時期として、(まるでバック・トゥ・ザ・フューチャーの一節のように)その『年号』が特別な意味を持って、心に強く刻み込まれているのです。

comic_channelwa.jpg佐々木倫子の最新作「チャンネルはそのまま」第1巻を読みました。綿密な取材に基づくリアルな人物描写で定評が高い佐々木倫子ですが、今度の作品は架空の地方テレビ局「北海道★(ほし)テレビ」を舞台にした、本格的な報道もの・・。超天然キャラの新入社員・雪丸花子が報道部に配属されたことから、抱腹絶倒のドタバタコメディが繰り広げられます。そんな雪丸が巻き起こす珍騒動についつい目を奪われがちですが、彼女の行動が笑いを誘えば誘うほど、報道の現場がいかにプロフェッショナルな人たちの真剣勝負で成り立っているかが、ビシビシと伝わってくるから不思議です。ニュース放送のたった数十分前まで事件や事故の現場で「素材」を求めて走り回る報道マンのこだわり、どんなぶっつけ本番でも誰に頼ることもなく「修羅場」を切り抜けなければならない花形アナウンサーの実像、どんなトラブルに見舞われても「絵」になる映像だけは決して撮り逃さない熟練カメラマンの意地..etc.そんな脇役たち一人一人の横顔が生き生きと輝いているからこそ、例え一分一秒の妥協も許されない厳しい世界であっても、テレビ局が実に魅力に溢れた楽しい「物づくり」の現場だということが伝わってくるのです。「仕事」のあり方が色々と問われる昨今ですが、ぜひ皆さんも主人公・雪丸の目線になって、北海道★テレビ体験に入社してみませんか?

バクマン。

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comic_bakuman.jpg社会現象までを巻き起こした人気漫画「DEATH NOTE」のゴールデンコンビ、小畑健と大場つぐみが、満を持して新たな作品を世に送り出しました。漫画家を志す少年二人を主人公にした新作は、その名も「バクマン。」。一風変わったタイトルですが、第一話に登場する『漫画家として成功する確率なんてバクチみたいなもんだ』というセリフに、その言葉の意味が現れているように思います。学年一の秀才・秋人(シュージン)に突然「一緒に漫画家にならないか」と誘われた主人公・最高(サイコー)は、しょせん博打だと開き直りながらも、『それでも宝くじを当てるよりは簡単だ』という冷静な分析から、秋人の誘いに乗ることにします。現代版「まんが道」のような地道な青春劇が始まるのかと思いきや、それぞれ絵とストーリーという才能に恵まれた優等生タイプの二人は、要領よく力作を仕上げて早くもジャンプ編集部への『持ち込み』に成功してしまいます。そこから始まる編集者を交えたリアルなやり取りこそが、この作品の真骨頂・・。漫画家予備軍の若者たちがどうやって連載にこぎ着けていくのか、実在するジャンプ編集部や、新人作家たちの登竜門的存在である「赤マルジャンプ」などを舞台に、読者アンケートの仕組みなどの裏話も交えて物語が進行していくので、虚実入り交じった臨場感が味わえるのです。

ハワイに伝わる癒しの秘法 みんなが幸せになるホ・オポノポノ 神聖なる知能が導く、心の平和のための苦悩の手放し方最近各所で話題の「ホ・オポノポノ」の公式本とも言える、イハレアカラ・ヒュー・レン博士の「みんなが幸せになるホ・オポノポノ」を読んでみました。ホ・オポノポノについては、セミナーに行ったという知り合いの人に話を聞いて興味を持ったのですが、何でも4つの言葉を繰り返し唱えるだけであらゆる問題が解決するという不思議な話・・。これはきちんとテキストを読んでみないと分からないな、と思って取り寄せたのですが、早速発売間もないこの本自体が入手困難になってるところが、世間の注目度の高さを感じさせます。ホ・オポノポノは、マナ・カードのカードにもなっているのですが、ハワイに古くから伝わる問題解決法で、対話や話し合いを意味します。本書では、それをさらに発展させ、誰もが自分一人だけで行える実践法として体系化された「セルフアイデンティティー・ホ・オポノポノ」について書かれていて、その意味ではホ・オポノポノの中でもさらに特殊な概念を扱っていることになります。

傷つきやすくなった世界で「空は、今日も、青いか?」に引き続き、フリーペーパー「R25」での連載をまとめた石田衣良のエッセー集・第2弾。20代の新社会人へ向けたフレッシュな視点は相変わらずに、その時々の世相を映した多彩なテーマを扱っているのですが、本書では多数の書き下ろしを含め、テーマごとに章立てされて再構成されているので、連載をときどき読んでいた私でも、著者が似たようなことを繰り返し主張しているのに気づかされたりと、新たな発見があって興味深かったです。特に面白かったのが、「植物化する男たち」をめぐる論考。最近の若い男性が恋愛やセックスに消極的になっているという声が、複数の女性から寄せられたのをきっかけに、そんな「植物化する男たち」の実態を著者なりに分析してみたかと思えば、残業ばかりで疲れ切っている日本のサラリーマンの現状と絡めて、「残業禁止法」なんてものを制定してしまえば、日本の男性ももっと夜の街に繰り出し、恋に積極的になるのでは・・?という画期的な提言につなげてしまうからさすがです。恋愛や子育て、仕事とやりがい、非正規雇用や貧困の問題など、扱うテーマは様々ですが、『もっと軽やかに柔らかさを持って生きていこう』という著者の一貫したメッセージには、さわやかに考えさせられる、そんな一冊でした。

愛のひだりがわ筒井康隆のジュブナイル小説「愛のひだりがわ」を読みました。母に先立たれた12歳の少女・愛は、行方知れずの父親を探すため一人旅に出る決心をします。しかし、世の中は今の日本よりもさらに行きづらく、荒廃して廃墟のようになった街には、争いに倒れた人が溢れ、金持ちは強盗団の襲撃におびえて暮らす毎日・・。そんな危険な愛の旅路には、野良犬のデンをはじめ、ちょっと不思議な『ご隠居さん』や、クラスメートのサトルなど、必ず愛のかたわらに寄り添い、守ってくれる存在が現れます。しかし、行く先々で波乱万丈の展開が待ち受け、愛の元から親しい人々が去っていくこともしばしば・・。そんな過酷な運命に翻弄されながらも、世の中の善悪を学び、強く生きる術を身につけていく愛の姿は、胸を打つものがありますが、同時にこの小説が単なるジュブナイルではなく、現代を生きる大人たちへ向けたメッセージであることも、同時に伝わってくるのでした。なぜなら、この作品で描かれているような残酷な世界は、日頃ニュースの画面に流れるありふれた日常とほんの紙一重の、ごくごく近い未来予想図だからです。

女王国の城

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女王国の城有栖川有栖の江神シリーズ待望の最新作「女王国の城」を読みました。前作の「双頭の悪魔」から数えるとざっと15年ぶりの新作ということになるので、当時からのファンにとっては、まさに悠久の時を経た感があるのではないでしょうか?私にとっては前作を読んでから、たかだか4年ほどしか経ってないのに、今だ新作の刊行が幻のようで信じられないところがあるのだから、皆がどれだけ首を長くして待っていたかが窺い知れるというものです。あれから時代は遠く流れ21世紀に突入してしまったのに、作品の中のアリスや江神さんたちは80年代(~90年代初頭)を生きる学生時代のまま・・。その変わらぬ懐かしさが嬉しいようでいて、今の私たちに新鮮な驚きとミステリーを与えられるのかという不安は、一読者として感じずにはいられません。ところが、このずっしりとした新作を一度紐解くや、瞬く間に生き生きした青春活劇の世界に引き込まれてしまうし、バブル景気や新興宗教に浮き足立った、私たちのよく知る90年代の空気が蘇ってきます。作中で、アメリカに誕生したばかりのインターネットに言及していたり、「一人一人が携帯できる電話があればいいのに」というマリアのセリフなどが面白く、一種パロディ的に現代のパースペクティブから90年代当時を俯瞰して描いていることがよく分かります。

モロッコ水晶の謎有栖川有栖の国名シリーズ最新作「モロッコ水晶の謎」を読みました。モロッコ仕込みの専属占い師を抱える、とある会社社長宅で行われたパーティの席上で突如発生した毒殺事件。毒物の出所ははっきりしているものの、被害者のグラスにピンポイントで毒を入れる機会は誰にもなかった・・!?普通に考えたらそんな不都合な状況で犯行に及ぶ者などいないのですが、占い嫌いの火村助教授がそんな出口の見えない難事件に、あっと驚く方法で一本の光明を見出します。他の収録作「助教授の身代金」と「ABCキラー」も、それぞれ身代金誘拐事件とアガサ・クリスティの「ABC殺人事件」の模倣犯をテーマとしているのですが、こういった推理小説じみた犯行が実際にはいかに実現困難か、といった例を分かりやすく説明しているのが面白いところ・・。この中編集に共通するテーマは、ひと言でいえば『不合理な犯行』ということに集約されると思うのですが、いずれの作品でも、どうして犯人がそんな非合理的な犯行手段に及んだのか?という不可思議を、極めて現代的な背景と絡めつつ、明快に解き明かしてくれます。熟達した叙述手法も去ることながら、犯人当てメインのエラリー・クイーンというよりは、シャーロック・ホームズものを読んでいるような語りの安心感がありますね。

ブルータワー

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ブルータワー石田衣良の「ブルータワー」を読みました。末期の脳腫瘍を患い、生きる希望を失っていた瀬野周司は、ある日激しい頭痛の痛みとともに、意識だけが200年後の未来にタイムスリップしてしまう。救いのない絶望の淵から、夢のようなテクノロジーが実現する未来社会へとひとっ飛びするシーンは、読んでいるだけで胸踊るものですが、この世界でも別の種類の絶望が待ち受けているのでした。高度2キロメートルの巨大な搭の上に、厳格な階層社会を築く未来人たちは、常に下層市民によるテロの脅威と隣り合わせで暮らしていて、さらに搭の外には人類を絶滅の危機に追いやった殺人ウィルスの魔の手が・・。9.11テロにヒントを得たというこの作品、重いテーマでありながらサワヤカで軽快に読み進められるのは、登場人物たちのキャラクターがしっかりしていて、いずれも親しみやすい魅力に溢れているためでしょう。著者としては珍しいSF作品ですが、決して違和感を感じさせないのは、常に見慣れた風景の中に『異界』を描いてみせる、著者の想像力の賜物ではないでしょうか?

ハッピー・マタニティ―てるてる天使の妊娠出産百科こんにちは!ご無沙汰していますharukaです。最近はすっかり春めいて地元の枝垂桜のつぼみもピンク色になってきました。さて、私はただいま妊娠6ヶ月の妊婦生活を送っています。安定期なのでおなかで胎児がくるくる回転しているのがわかってへんな感じです。実は昨年夏に、ドゥーラという妊婦さんをサポートできる講座を受けたのですが、資格の本場イギリスでは三回ほど出産に立会いして正式にドゥーラになれるそうです。昔からなんで助産婦にならなかったんだ?というほど子どもや赤ちゃんは好きで出産には興味がありましたが、やはり経験してみないとわからないことだらけ。妊娠を機に少しずつお勉強しています!せっかくなのでこちらで妊娠、出産についてのお勧め本やグッズを紹介していきたいな、と思います。

死神の精度

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死神の精度 (文春文庫 (い70-1))伊坂幸太郎の「死神の精度」を読みました。クールな死神が人の姿を借りて、死の直前の7日間だけ、対象となる人物を調査にやってくるというストーリー。面白いのは、死神といえどもサラリーマンさながら、必要最低限の情報しか上層部から与えられておらず、いかに『仕事』をさぼって、CDショップで好きな音楽を聴くかということしか考えてないし、『上』は『上』でそんな適当な死神たちの判断を鵜呑みに、人の生死を決定してしまうということ・・。主人公の千葉は、死神の中でも比較的物好きで、熱心に調査をすることだけは怠りません。人間の社会のことをよく知らず、おかしな質問ばかり繰り出してしまう彼でしたが、取るに足らない人間たちの死に際に寄り添ううち、思いも寄らず様々なドラマに巻き込まれていきます。オムニバス形式で物語が語られるので、死神・千葉の目線を通して、様々なシチュエーションの7日間を目の当たりにすることになるのですが、いずれ劣らず映画仕立てのドラマチックな展開が待ち受けているのが、伊坂幸太郎らしいというか、好みが別れるところかもしれません。

放課後

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放課後 (講談社文庫)東野圭吾の初期の本格ミステリ作品「放課後」を読みました。元サラリーマンの高校教師が、名門私立女子校を舞台に繰り広げられる連続殺人事件に翻弄されながらも、真相を突き止めていくというストーリー。生徒たちから「マシン」とあだ名されるほどクールで即物的な主人公が、学校から不良少女として問題視されている陽子や、活発なアーチェリー部主将のケイからは妙に好かれていて、意外とモテキャラなのが面白いのですが、常に淡々と語られる彼の一人称の文体が親しみやすく、自然に物語に引き込まれていきます。密室殺人などの本格的なトリックも去ることながら、高校生ならではの悩みや独特な集団心理といったものへの洞察が深く、最終的にそれが大人には思いもつかない殺人の「動機」へと結びついていく下りがさすが、と唸らせられます。賑やかな体育祭の仮装行列のシーンや、手に汗握るカーチェイスなど、要所要所でドラマ仕立ての演出も多く、この時点にして東野圭吾のマルチな才能が結実していることを感じさせる作品でした。この本を読むだけで、普段知る機会の少ないアーチェリーのルールや特性についてちょっぴり詳しくなれる、なんて利点もアーチェリー経験者の東野圭吾ならではの賜物ですよね。

東京奇譚集

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東京奇譚集村上春樹の短編集「東京奇譚集」を読みました。最初の作品で珍しく村上春樹自身が登場し、「本当にあった話」として友人の体験談を語っているので、他の作品も含めて、全てが現実に近いレベルの話に感じられてしまう雰囲気があります。「偶然の旅人」「ハナレイ・ベイ」と初っ端からかなり泣かせる作品が続くのですが、日常の中で突然大切なものを失くした人々を描いた「どこであれそれが見つかりそうな場所で」「品川猿」へと至って、ちょっと不可思議で可笑しいテイストに変じて幕を閉じています。中でも私が一番気に入ったのはハワイでサーファーの息子を失くした女性が主人公となる「ハナレイ・ベイ」。息子と決して仲が良かったといえない母親・サチは、失った時間を取り戻すかのように、毎年息子の亡くなった地を訪れ、いつしか旅の常連のようになります。そこで出会った向こう見ずな日本人青年との愉快なやり取りは、どこか「海辺のカフカ」のナカタさんと星野青年との関係を彷彿させるのですが、青年にはない知恵も経験も全て持ち合わせたサチが、唯一持っていないもの(=息子との絆)を彼の中に見出してしまうシーンには、思わずホロリとさせられました。全ての話が作り物と思えないだけに、「品川猿」がその後高尾の山で無事に暮らしているかどうかも、思わず気になってしまいますね・・。

暗黒館の殺人

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暗黒館の殺人綾辻行人の館シリーズ集大成「暗黒館の殺人」を読みました。結局文庫版が出るまで首を長くして待ってしまったのですが、文庫本にしても全4巻というボリュームにまず圧倒されてしまいます。『館』の外観が描かれたおなじみの表紙装丁も、今回から喜国雅彦さんにバトンタッチされたそうですが、相変わらずのシュールなテイストを踏襲しつつも、4巻構成のため様々な視点・アングルから『館』を眺められるのが嬉しいポイントです。さて、今回の舞台は熊本の山深い湖上に佇み、光を厭うように全面黒塗りにされたという「暗黒館」。どうしてそんな館が建てられたのか?という謎も尽きないのですが、立て続けに起こる殺人の謎と相まって、読者を暗黒のヴェールへと誘います。作中に張られた伏線や、大がかりなトリックも一つや二つではないのですが、これまでの館シリーズを読んできた読者には決して解けない謎ではないこともまた事実・・。過去の作品を総復習しながら、じっくりとこの『難攻不落の謎』に立ち向かってみてはいかがでしょうか?

白い兎が逃げる

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白い兎が逃げる (光文社文庫)有栖川有栖の「白い兎が逃げる」を読んでみました。ちょっと変わった切り口の作品が多いこの中編集ですが、中でも標題作の「白い兎が逃げる」は、ストーカーに悩まされる舞台女優が企てた関西空港から鳥取までの逃避行が、いつの間にか殺人犯のアリバイ崩しをめぐる机上のデッドヒートに発展してしまう・・、というトラベル・ミステリの秀作。ちょっぴり気の弱いストーカーを退治するため、劇団仲間たちが知恵を絞るという無邪気な導入部から、先の読めない展開と語り口で読ませるのですが、最終的に出来上がった逃走ゲームの舞台設定は実に巧妙でアイロニーに溢れています。兎のような色白美女が乗り込むのは、どこか兎を連想させる南海鉄道のラピートや特急「はくと」。そして、その行き先も『因幡の白兎』で知られる鳥取の白兎海岸というのだからシャレが効いています。犯人のアリバイを崩すためには『ウサギとカメ』の追いかけっこのように、圧倒不利なチェイスを実現させなければならない、というのが面白いところ・・。色々と想像力をかき立てさせる理知的な作品でした。

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多摩川のほとりでのんびり暮らす3人家族の日常と果てなき好奇心を綴ったブログです。

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