スパイ・バウンド

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スパイ・バウンドフランスの諜報機関に所属するリザとジョルジュは、旅行中の夫婦を装ってモロッコに潜入し、とある船舶の爆破計画を実行する。ところが、この任務を最後に引退を決意していたリザは、組織の策略により空港で逮捕されてしまい、仲間の一人も敵国のスパイに殺されてしまう。スパイとしての生き方に疑問を感じたジョルジュは、単独で行動をはじめ、獄中のリザを救出しようと画策するが・・。自我に目覚めたスパイの報復劇、というと「ボーン・アイデンティティ」に代表されるジェイソン・ボーン・シリーズが記憶に新しいところですが、この「スパイ・バウンド」には派手なアクション・シーンや、超人的なヒーローは一切登場しません。ぼーっとしていると、いつの間にか終わってしまうほど地味な映画なのですが、自分を殺し、組織の歯車として働くことに疑問を抱きながらも、スパイとして生きる者たちのリアルな日常に迫った意欲作なのです。淡々としていながらも、作戦を実行する主人公たちの描写は実にリアルで、実際に起こった「虹の戦士号」爆破事件の関係者に取材した、という本物志向の成果が伺われます。何より面白いのは、主演のモニカ・ベルッチとヴァンサン・カッセルが実生活でも夫婦であるという事実。映画の中では、スパイとしての偽装夫婦だから、本当は夫婦じゃないのに・・。と思わせておいて、2重に視聴者を欺いているんですね。。

この映画の醍醐味は、登場人物たちの何気ないセリフに凝縮されています。「家族にも本当のことは言えず、親友と呼べるような人はいない。あなたには同業者以外に友人がいる?」そう語っていたリザは、引退を決意したとたん、組織の罠にはめられて否応なく次の任務を遂行するはめになるのですが、「引退して早く普通の家庭を築きたい」と言っていた彼女が、本心では組織の命令なら何でも聞いてしまう、染み付いた自分の本性に恐れを抱いている・・。

そして、自分たちを襲う理不尽な現実に憤りを感じたジョルジュは、仲間への仁義を果たすため、単身敵のスパイを仇討ちに旅立ったり、捕らわれたリザを助けようと骨身を削るのですが、それが本当の意味での友情なのかどうかは、自分でもよく分からない・・。主人公たちの心を襲う、そういった不安や葛藤が、実に丹念に描きこまれているからこそ、静かなリアリティが伝わってくるんだと思います。

最後にリザが無事釈放されたシーンで、組織の上層部の人間が「うちからは誰も迎えにはいかない」と言うセリフが印象的だったのですが、孤独に戦う末端のスパイを尻目に、表舞台では着々と次の企みが動き始めていて、邪魔になったリザとジョルジュを早々に始末したがっています。実際の「虹の戦士号」爆破事件の首謀者2人は、その後逮捕されたらしいのですが、組織に追われるリザとジョルジュの運命はどうなるのでしょうか・・?結末をはっきり見せずに、2人を乗せた車がトンネルに入ったところで、あっさりと終わってしまうところが、フランス映画らしいニクい演出ですよね。

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多摩川のほとりでのんびり暮らす3人家族の日常と果てなき好奇心を綴ったブログです。

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