東野圭吾の初期の本格ミステリ作品「放課後」を読みました。元サラリーマンの高校教師が、名門私立女子校を舞台に繰り広げられる連続殺人事件に翻弄されながらも、真相を突き止めていくというストーリー。生徒たちから「マシン」とあだ名されるほどクールで即物的な主人公が、学校から不良少女として問題視されている陽子や、活発なアーチェリー部主将のケイからは妙に好かれていて、意外とモテキャラなのが面白いのですが、常に淡々と語られる彼の一人称の文体が親しみやすく、自然に物語に引き込まれていきます。密室殺人などの本格的なトリックも去ることながら、高校生ならではの悩みや独特な集団心理といったものへの洞察が深く、最終的にそれが大人には思いもつかない殺人の「動機」へと結びついていく下りがさすが、と唸らせられます。賑やかな体育祭の仮装行列のシーンや、手に汗握るカーチェイスなど、要所要所でドラマ仕立ての演出も多く、この時点にして東野圭吾のマルチな才能が結実していることを感じさせる作品でした。この本を読むだけで、普段知る機会の少ないアーチェリーのルールや特性についてちょっぴり詳しくなれる、なんて利点もアーチェリー経験者の東野圭吾ならではの賜物ですよね。
風のまにまに号

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