スパイキッズ3-その2

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「スパイキッズ3-D:ゲームオーバー」のレビュー続きです。(⇒前編はこちら)スパイキッズ3のラストシーンは、完結編だけあってスパイ一家の面々や過去に登場したキャラクターが一同に集結しての総力戦が繰り広げられます。まるで安っぽいアニメのようにベタな展開に、思わず辟易してしまう人も多いとか思うのですが、そこまで強調して監督が「子供に伝えたかったメッセージ」は何なのか?そう考えながら観ると、この映画には大人ながらに思わずホロリとせずにはいられない「泣き所」が随所に散りばめられています。私が特にグッときたのは、次の2つのシーンです。

  1. パパ(アントニオ・バンデラス)が長年の夢である「第5の脳」の完成を目前にしながら、カルメンから助けを呼ぶ声に応じて、全てを吹っ飛ばして駆けつけるシーン

  2. ジュニがゲームの中の世界でカルメンを探すときにテレパシーで語りかけるシーン

(1)のシーンは、映像だけ見ると思わず爆笑してしまう、この映画の中でも屈指に入る「面白シーン」でもあるのですが、パパの家族に対する愛情の強さを一瞬の中に見事に描き切っています。「第5の脳」はパート1から続く伏線で、パパの人生を賭けた研究テーマであることが説明されています。男にとって大切な「仕事」や「趣味」の象徴と置き換えてもいいでしょう。それを、ちゃぶ台をひっくり返すように飛び出してしまったら、第5の脳が壊れてもう研究はできないかもしれません。家族のために一瞬で執着を捨てられるか?それが「男っぷり」の見せ場となっているのです。
(2)のテレパシーのシーンですが、最初私はゲームの中の世界だからテレパシーが使えるのかな?と思っていたのですが、他のプレイヤーがテレパシーを使っている描写もないし、そもそも何の説明も受けずにゲームの中に飛び込んだジュニがそんな技術を知るはずもありません。よく考えたら、これも前作からの伏線で、「スパイキッズ2 失われた夢の島」でジュニとカルメンが「アルゴ探検隊」に出てくるようなガイコツ兵と戦っている時に、なぜか不思議な神殿に入ったらお互いの心の声が聞こえてくる、というシーンがありました。劇中では何も語られていないのですが、恐らくこの時からジュニとカルメンは、どこにいても2人の間だけテレパシーが使えるようになっていたのだと考えられます。
しかも、ジュニが家族との関わりを断っていたため、スパイキッズ3での再会シーンは1~2年ぶりということになります。心の声でお互いを確かめ合うこのシーンは、姉弟の「絆」を現しているのでしょう。映画の中でも外でもすっかり成長してしまった2人は、以前のようにはしゃぎ合える年齢ではなくなってしまったのかもしれませんが、いくつになっても2人だけの通じ合える心のチャンネルが残っているんだよ、ということをこのテレパシーは象徴しているのだと思います。
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こういった何気ないシーンに「家族愛」の大切さを描き込んでいるスパイキッズですが、そういう視点で観れば、冒頭で挙げたラストシーンの持つ意味も自ずと伝わってきます。
「困った時には助けを呼ぶ」「助けを求められたら迷わず手を差し伸べる」
いたってシンプルな、当たり前のことですが、大人になるとなかなか素直に実行できないことですよね。くどいほどこのシーンを強調している訳は、子供たちにこのメッセージを伝えたかったからだと思います。
逆にスパイキッズ3で「あまり描かれていないシーン」というのを挙げてみると、そもそもの設定であるジュニが家族や組織と関係を断っていた理由というのが、単に「裏切られたから」と表現されているだけで、それが具体的に何の事を指すのか語られてません。同様に、悪役のトイ・メーカーがかつてグランパ(おじいちゃん)の足を怪我させてしまった事故についても、回想シーンなど具体的な話は一切出てきません。
この辺りが詳しく描かれてないのは、きっと子供にとってそんな小難しい話は重要ではないからでしょう。子供であろうと大人であろうと、親しい人とちょっとした理由で仲違いしてしまうことはよくあることです。これもスパイキッズ1から共通するテーマですが、過去のことは水に流して素直に「和解」すること。意地を張り合うより、仲直りして得られる「絆」の方がもっと大事。それが、パート1でのパパとおじさんとの和解、パート3でのグランパとトイ・メーカーとの和解、と繰り返し描かれているスパイキッズのメインテーマのひとつなのです。
そんなこんなで2回に分けてスパイキッズ3のレビューを書いてきましたが、スパイキッズやチャーリーズ・エンジェルズのような映画は、エンターテイメント映画の新潮流として受け入れるべきエポック的な存在ではないかと思っているので、ぜひ子供映画という先入観を持たずに楽しんでみてください。ちなみに、私の中でシリーズ中の面白さ・ノリの良さ順位は1>2>3という感じです。キャラの中で一番カッコいいのは、やっぱりクールなママですね。

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多摩川のほとりでのんびり暮らす3人家族の日常と果てなき好奇心を綴ったブログです。

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