大長編ドラえもん・テーマの変遷(2)

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dora_040331.gif初期の「のび太の恐竜」に始まるSF冒険活劇とも言うべきシリーズは、タイムマシンで大昔の時代へ行ったり、ドラえもんの未来の道具で誰も行ったことのない海底や地底、ジャングルの奥地の秘境へと冒険する作品群です。これらの作品は、そのまま「海底2万マイル」や「地底探検」などの19世紀SF小説の巨匠ジュール・ベルヌ の作品をほうふつさせるようなテーマ設定で、そういった正統派SF小説の知的興奮・ワクワク感を受け継いだ、SF漫画家としての藤子不二雄の真骨頂だと言えると思います。
これらの作品は、その舞台設定にかなりリアルな科学的説明が付加されているため、見ている子供が理科や社会科の知識と照らし合わせて想像を膨らませることができました。「のび太の恐竜」「のび太の日本誕生」を見ると、プレートテクトニクスによって大昔の日本や世界の地図が全く違う形をしていたことが手に取るように分かるし、「のび太の海底鬼岩城」では広大な海の底に広がる海溝の仕組みや、海底生物の生態を事細かに解き明かしてくれます。

私が特に印象に残っているのは、「のび太の大魔境」で、「人工衛生が地球全土をスキャンしている現代では、前人未踏の秘境なんて存在しない」と言うドラえもんの言葉に耳をかさず、懸命に秘境を探し続けたのび太が、アフリカの奥地に1年中雲と霧に覆われて人工衛生の目の届かない謎の王国を発見する下りです。むやみに夢物語を描くのではなく、そういう現実的な説明をきちんとされると、子供心に「そういう事もあるかもなぁ」と想像を刺激されるものです。
大長編ドラえもんが現代版・ジュール・ベルヌの焼き直しを行うことの意義は、大長編ドラえもんのもう一つの特徴である「遊びの世界の具現化」という点に結実されています。私が子供の頃でもかろうじて、近くの裏山に秘密基地を作って遊んだり、山で化石を取ったり、イカダで町の川を下ったりという遊びを体験していました。大長編ドラえもんのお話の導入部は、いつもこういった子供たちの身近な遊びのシーンとリンクした絶妙な「距離感」の中にあります。のび太が裏山で恐竜の化石を発掘したり、のび太の町を流れる川が地底の大帝国につながっていたり、身近な所から徐々に大冒険の世界へと展開していくので、子供が等身大の感覚で入り込んでいくことができます。ネモ船長に感情移入するのは難しいかもしれないけど、のび太にだったら感情移入できる、というわけですね。
ところが、私が小学校高学年の頃には、すでに遊びの主流がファミコンにシフトしていたし、様々なオモチャが身の回りに溢れていました。その後の世代に生まれた子供たちにとって、探検ごっこや化石掘りといったアウトドアな遊びが身近に感じられなくなったとしても不思議ではありません。次回は、そんな子供側の「遊びのスタイルの変容」に対応する形で変化していった、中期の作品群について解説してみたいと思います。

大長編ドラえもん・その冒険の舞台

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多摩川のほとりでのんびり暮らす3人家族の日常と果てなき好奇心を綴ったブログです。

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