

海賊の巻DVD-BOXに収録されている「魔女リカの巻」全4話のレビューです。今回のNHKの再放送では放映の予定がないため、今のところDVDでしか観ることのできないシリーズですが、「海賊の巻」と現在放送されている「グレートマジョリタンの巻」との間をつなぐ重要なエピソードです。まだDVDを観ていない人のために今回はあらすじ紹介は控えめにしておきます。
あらすじ
お話としては「海賊の巻」の直後という事で、色々と海賊たちとの攻防を経た結果、海賊4人組とキッド坊やが新たなひょうたん島住民として加わり、その間にガバチョは町のサロンを首相官邸とし与えられ、トラヒゲは実業家としてトラヒゲデパートを経営し、ダンディは島の保安官として公務に就いています。そんなある日、墓場で肝試しをしていた子供たちは空飛ぶ掃除機に乗ってやって来た魔女・リカと出会います。横暴な魔女に、勇気を出して子供たちが対坑すると、「覚えてらっしゃい!」と捨てゼリフを残して魔女は去っていくのでした。その後、ひょうたん島での居住権は得たものの、ろくな収入源もなく経済状態が困窮し、いい気になったガバチョやトラヒゲたちにひどい扱いを受けていた海賊たちに目をつけた魔女リカは、彼らと手を組んで巧妙な復讐劇を開始します。このシリーズのテーマは、ずばり「風が吹けば桶屋が儲かる」ということです。モノの売れゆきは、ちょっとした世の中の状況にとかく左右されるもの。それさえ予測できれば簡単にビジネスを制することができる。また、それゆえにあらゆる商売に付きまとう「はかなさ」というものを逆説的に描いているのです。
魔法の機械「ウインター・マシーン」を使って突如ひょうたん島を冬に変えてしまった魔女リカは、事前に海賊たちに独占させておいた薪やカゼ薬を高額でトラヒゲに売りつけます。冬が来た、と思って巨額の資金をはたいてスキー場やスケートリンクを設営し、冬のレジャー産業でひと儲けしようとトラヒゲが手を打ったところで、今度は「サマー・マシーン」で一転、ひょうたん島を夏にしてしまいます。状況の変化を事前に察知することができれば海賊たちでもたちまち億万長者になれます。反対に、先の読めないトラヒゲはどうやってもお金を儲けることはできないのです。情報を持つ者と持たざる者を対比させた滑稽なビジネス戯画ですね。
いいように振り回されてしまったトラヒゲはあえなく「破産」、ガバチョも政権を奪われ路頭に迷います。ひょうたん島の社会は大混乱となり、背後に魔女の存在をかぎつけた博士も魔法でオウムに変えられてしまい、絶対絶命のピンチを向かえます。果たしてひょうたん島の面々は危機を乗り越えて魔女リカを倒すことができるのでしょうか?
みどころ
それにしても魔女リカの復讐の仕方が実に巧妙で、子供たちに恨みを持っていたはずなのに、直接の被害を受けるのは実業家のトラヒゲばかり。何か矛先が違うんじゃないかな~?という気がしてならないのですが、その答は途中で出てくる「グッド・オールド・デイズ」という歌の中にありました。グッド・オールド・デイズとは、魔女や海賊が活躍し、尊敬されていた「古き良き時代」という事らしいのですが、これは言い替えれば「資本主義」に対する「前近代」ということですね。ひょうたん島のマスコットであるガバチョやトラヒゲは良くも悪くも「民主主義」と「資本主義」の申し子です。いつも失敗ばかりで頼りない申し子たちですが、それでもとにかく「民主主義」と「資本主義」をベースにしてどうにかこうにか前へと進んでいく、というのがひょうたん島のテーマなのです。そこで、その「民主主義」とか「資本主義」に対して「それでいいの?」と内在的に疑問を投げかけるのが魔女リカの役割だったのではないでしょうか?そう考えれば彼女の攻撃の矛先がひょうたん島の社会構造そのものに向いていたのも納得がいきます。そして、ひょうたん島が受けた災難は、そのまま私たちの暮らす社会が抱えている「原罪」のようなものをパロディとして描いているのかもしれませんね。
それにしても、魔女リカが魔法を使うのに魔法の「機械」にいちいち「お金」を入れないとならない、設定が面白いような皮肉なような・・。

⇒「魔女リカの巻」全4話と「海賊の巻」全17話を収録した「ひょうたん島 DVD-BOX 海賊の巻」はこちら
⇒「魔女リカの巻」のみ観たい方はこちら
- DVD「魔女リカの巻」第1巻(第1話~第2話収録)
- DVD「魔女リカの巻」第2巻(第3話~第4話収録)
風のまにまに号

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