「人形劇ガイド ひょっこりひょうたん島 2003」
監修:伊藤 悟
発行:NHK出版
定価:1000円
今年NHKで再放送が開始された「ひょうたん島」のガイドブックです。
まず各話のストーリーあらすじと、ワンポイント解説がコンパクトにまとめられているので、TVを見ながら片手に読むのにちょうどいい内容です。うっかり見逃した回があってもこれを読めばストーリーが補えるので、ちょっと気になる「ひょうたん島」を気軽に楽しく観たいという人にはうってつけの本だと思います。(本格的に見逃してしまった、という人は最近発売されたDVD-BOXで楽しみましょう)
ストーリーガイドの他にもキャラクター紹介や用語集など、面白いコーナーが色々あるのですが、特にすごいのは、作者の井上ひさしさんを始めとしたあらゆる関係者にかなり突っ込んだインタビューを掲載している点です。ほんとに薄さの割に内容盛りだくさんで、私の場合これをパラパラと読んだだけですっかり「ひょうたん島」の奥の深さに目覚めてしまいました。
この本を読んで初めて知ったのですが、何よりすごいのはこの本をまとめた伊藤悟さんという方の存在です。この人はいわば「ひょうたん島マニアの第1人者」とも言うべき人なのですが、子供の頃に放送していたひょうたん島のストーリーやセリフ、キャラクターのデザインから舞台セットに至るまでを詳細に大学ノートにメモし続けていて、そのノートが後年になってリメイク版のひょうたん島を制作する際に、唯一の重要資料として役に立ったというのです。(つまり伊藤さんのノートがなければ今見ている再放送は実現しなかった!!)
伊藤さんは今ではすっかり「ひょうたん島」の専門家といった存在で、その他にも様々な本を書かれています。でも私にはこの本に書かれている伊藤さんの短いコラムだけで「ひょうたん島」の裏にひそむ思想や哲学といったものがひしひしと感じられたのでした。
ひょうたん島の第1話からのストーリーを簡単に書くと、
- 子供たちが遠足で来た島が流されて戻れなくなっちゃった。
- 他にも海賊やギャング、政治家(?)など行き場のない人が流れ着いて一緒に暮らす事に。
- もっと悪い海賊3人組がやって来て「おまえらは出て行け」と脅してくる。
- 最初は海賊に従う島の住人だが、次第に異議を唱え、勇気を出して対抗していく。
あまりに、のんびりマッタリとこのやり取りが進むので、最初はじれったく、何が言いたいんだろう?と思っていたのですが、結局はこの話は、1つの国家が他者と折り合いをつけて共存していけるかという極めて政治的なテーマを、人形劇に例えて問題提起している作品に他ならないのです。この海賊との攻防を描いた最初のエピソードは、まさしく戦争とか外交のパロディなのでしょう。9.11のテロ以降、「100人村」というのがブームになったりしましたが、ひょうたん島こそ時代に先駆けた100人村だったのではないでしょうか?
それが分かると、今までのようにのほほんと物語を楽しんでいるだけじゃなくて、「このシチュエーションで作者の井上ひさしは、どんな解決法を提示してくるのか?」といった感じで、すっかり目が離せなくなってしまいました。こんな事なら、リメイク版の放送だけでは見ることのできない残りの大部分のストーリーも脚本を通して全て読んでみるべきかどうか・・・、と悩んでしまっている今日このごろです。
↓リメイク版では放送されない脚本もこちらの文庫でまとめて読むことができるようです。
ひょっこりひょうたん島 全13巻 ちくま文庫
風のまにまに号

私は「ひょっこりひょうたん島」の中で一番好きなキャラクターは「マシンガン・ダンディです、かっこいいし、クールです、毎週ビデオで予約して見ています。
ユリさん、こんにちは。
私も強いて言うなら、ダンディさんが一番好きですね。いつも義理と人情に厚くて、ひょうたん島のキャラクターの中では一番人間らしい人なんじゃないでしょうか?(みんな結構現実的だから・・)ひょうたん島のレビューは、とりあえず放送が終わるまで毎週書きつづけるつもりなので、そちらもまた見に来てくださいね。